
偶然生まれた「たまたま」と、完熟の「ノウハウ」が結びついて・・・
ものすごい数!樹がオレンジ色に見える。
- 河野さん
- だいたい1本の樹で、1500個の完熟きんかんが採れますね。
その中からブランド基準に沿って選別されたものが完熟きんかん「たまたま」・「たまたまエクセレント」になります。
13アールのハウスに、160本のきんかんの樹。
- 河野さん
- 1列に27本の樹を植えています。収穫量はこのハウスで4~5トンぐらい。完熟きんかん「たまたま」を栽培しているところは、JA宮崎中央で50件、宮崎県下で257件あります。
今年の出来栄えは?
- 河野さん
- 今年も例年と同じく良作ですよ。「たまたま」を育てるにはハウス内の環境をきちんと整える必要があります。それができれば品質のブレはありません。
「たまたま」は、偶然のたまたまだと…
- 河野さん
- 天候被害があって露地からハウスに切り替えたとき、11月の収穫期をすぎても実をそのままにしていた農家がありました。そこで驚くほど甘いきんかんができた……これは新発見かもしれないと試行錯誤を始めたのです。
210日間、樹上熟成するって、ほんと?
- 河野さん
- そうです。210日、花が咲いてから7ヵ月間、樹の上で熟成させたものだけが完熟きんかん「たまたま」です。きんかんの品種は同じですが、栽培の仕方がまったく違います。
この油胞(ゆほう)が、奇跡のあまさの証!
- 河野さん
- 皮にブツブツが見えるでしょ。これが油胞(ゆほう)です。油胞が浮き上がってきたら完熟になったサイン、美味しさがぐっと増しています。
ああ!丁寧に扱ってくださいね。
- JA宮崎中央 長友さん
- ぎゅっと握りすぎたりぶつかったりして、この油胞がつぶれ、「うるみ」が出ちゃうと、色も食感も悪くなり、出荷できなくなってしまいます。意外と繊細なんですよ。
年間の作業スケジュールを教えてください
- 河野さん
- 3月に収穫を終え、4月上旬までに剪定をします。4月~5月には新しい枝が伸びて、6月中下旬になると花が咲きます。きんかんの花は5回ほど咲くのですが、最初の頃の花で自家受粉するのが望ましい(6月は雨が多く湿度が高いので受粉が難しいのですが…)。その後、実を選り分ける摘果作業に8月~10月は追われ、この作業は収穫まで継続します。
花は、実の数の3倍以上も咲くのですか!
- JA宮崎中央 長友さん
- 放っておくと次から次へと数えきれないくらい咲きます。全体の3分の1くらいに摘果するので、1本の木に約4500咲くことになりますね。この時期はハウスの温度を25℃に保ち続け、水やり、害虫防除の農薬散布・・・。この開花から実になるまでの管理が最も難しくて最も手間がかかります。
完熟のノウハウって、まだありますか?
- 河野さん
- はい。8月になるとハウスの屋根をオープンにするんです。天井を巻き上げて露地栽培のような状態にし、自然のまま日光や雨水が入るような形に。11月から屋根を徐々におろし、水を断ちストレスをかけて、甘みを乗せていきます。その後12月から徐々にハウス内の温度を下げ、外気温と同じになるように調整していきます。
水を断ち、温度を下げる!
- 河野さん
- 最終的には2℃くらいまで下げます。冬は宮崎でも温度は朝晩かなり下がりますから。マイナスになって凍らなければいいんです(笑)。その後1月中旬から収穫になり3月中旬まで続きます。これぐらいで勘弁してもらっていいですか(笑)
農薬は、どのように役立ってますか?
- 河野さん
- 開花期に寄ってくる害虫を防除するため農薬がなくてはなりません。スリップス(アザミウマ)という小さな虫で、これにやられるとひどい時は全滅しちゃいます。その年、最も効果のある農薬を選んで使用し、果実を守ります。農薬の使用時期は県下で検討し地域によって更に検討するので指導員の指導も行き届いています。完熟きんかん「たまたま」の栽培は、このハウスと農薬に支えられていますね。
安心して、まるかじりができる!
- 河野さん
- もちろんです。6月以外に農薬を使うのは8月と12月のダニ対策です。農薬の成分は分解されちゃうので、収穫時にはまったく影響がありません。安心して皮ごとまるかじりしていただけます。
「たまたま」には、30年の栽培ノウハウが凝縮している
- 河野さん
- 「たまたま」の発見者が土台をつくって、その栽培法を30年かけて確立してきました。先人の研究ノウハウは県で蓄積していて、若い人が作りたいと思えば、指導が受けられる体制もできているので、明日からでもできます。ただ1、2年目はまだまだ成果が上がらないので、若い人はミニトマトやキュウリの園芸にいってしまいがちですが(笑)